MENU
グループ紹介(住宅新聞掲載)

武部建設×アトリエmomo

北海道住宅新聞 2023.10.25 掲載

てまひまかけて自然とともに暮らす

ちょっとした「てまひま」をかけて暮らしを楽しみ、自然の恵みも感じながら暮らす―。今回紹介する空知・南幌町の『みどり野ゼロカーボンヴィレッジ』基本プランは、そんなコンセプトを形にした武部建設設(株)(本社岩見沢市、武部豊樹社長)とアトリエmomo(札幌市、櫻井百子主宰)の『てまひまくらしplus(プラス)』。

道産カラマツ板張りの外観イメージ。カーポートやデッキスペースと調和したデザイン

脱炭素へ小さな取組みを積み重ねる

『てまひまくらしplus』は、木部の手入れや通風・日射遮へい、暖房用の薪割りなど、“ちょっとしたてまひまをかける暮らしを楽しむ”とともに、自然エネルギーの積極的な活用によって、環境負荷を抑えることも目指した住まい。「太陽光・太陽熱利用や薪ストーブ、地域材の使用など、小さな取組みの積み重ねでコツコツ脱炭素化を図ろうという提案」(櫻井さん)。
両社は2018年のみどり野きた住まいるヴィレッジ・モデルハウスでチームを組み、ちょっとしたてまひまを楽しむ住まい『てまひまくらし』を建設。その後も地域の素材・気候風土を活かしたデザインや環境負荷の小さい住まいに対するこだわりなど、お互いの家づくりの方向性が近かったことから協働を継続し、これまで同ヴィレッジ内で建設した『てまひまくらし』は5棟を数える。
今回は北方型住宅ZEROで建てるにあたって、『てまひまくらし』に太陽や風、バイオマスなどの自然エネルギーとともに暮らすという提案を、コンセプトのもう一つの柱に据えた。武部社長は「この規模の住宅であれば、冬は薪ストーブで十分暮らせる性能があるので、暖房は完全にカーボンニュートラルになる。そのうえで太陽の光を電気、熱を温水として利用すればCO2排出量を大きく減らせるし、住まい手の光熱費負担も抑えられる」と言う。
自然エネルギーの活用にあたっては、これまでの『てまひまぐらし』と同じく薪ストーブ・パッシブ換気の採用や、通風・日射遮へいに配慮した開口部と庇の設計などのほか、壁面設置の太陽光発電、太陽熱温水器、蓄電池を新たに導入し、地域特性でもある強い風力を利用するための小規模風力発電も電気配線に接続可能としている。
このうち、壁面太陽光発電は、庇の影響を受けにくく、メンテナンスもしやすいことから、建物西側に設けたテラスの手すり部分に太陽光パネルを8枚設置。出力は1枚320Wで合計2.56kWの容量を確保し、蓄電池とも連携して発電した電気はできるだけ自家消費する仕組みとする。
太陽熱温水器は、カーポート南面の柱間に集熱パネルを取り付け、太陽熱で作られた温水は暖房にも給湯にも利用可能とした。温水が足りない時はガス熱源のエコジョーズを使用する。

太陽光発電パネルはテラスの手すり部分に設置し、カーポートの柱間には太陽熱集熱器を取り付ける

大工の手仕事と地域の木材を目に見えるように

自然エネルギーの活用を進める一方、デザイン・プランや仕様は、地域の木材や大工の技が見える造り、家族の成長や暮らし方の変化に対応できる空間構成など、『てまひまくらし』ならではの提案を行っている。
エクステリアを見ると、敷地に対して斜めに配置された片流れ屋根の建物は、道産カラマツの板張りで外装仕上げを行い、東側にデッキスペース、西側にポーチと薪置き場を挟んでカーポートを設置。デッキスペースは周囲に日除けのタープを取り付けられる木製フレームを備えており、ポーチの柱に使う丸太は武部建設の社有林にあるカラマツを使う予定だ。
約26坪(テラス除く)というコンパクトな室内は、1階を土間リビングとダイニング・キッチン、水回りなどで構成。南側に位置する土間リビングは、カーポート・ポーチ側からデッキスペースへとシームレスにつながる通り土間でもあり、隣接するカラマツフローリング仕上げのダイニング・キッチンと床レベルをフラットにして使い勝手を高めている。
2階はカウンターデスクのあるフリースペースと寝室、ファミリークローゼットのみと必用最小限の部屋数・造作にとどめ、将来的な家族構成の変化にも対応。また、屋根断熱として小屋組を現しとし、収納などの造作も墨付け・手刻みを行って仕上げることで、大工の手仕事と地域の木材を目に見えるようにしている。「大工の手による美しい造りの小屋組を見てもらうことができ、天井も張らないので空間を広く感じられるのは大きなメリット。造作は若手大工も行うので、地域の工務店と設計事務所が大工・職人の担い手を育成していることも感じ取ってもらえれば」と武部社長。

1階の平面図。延床面積はテラスを除き約26坪

2階の平面図。延床面積はテラスを除き約26坪

愛着を持って永く住んでもらいたい

なお、北方型住宅ZEROの適合要件となる脱炭素化対策のポイント数(P)は、太陽光発電(パネル壁面設置・2kW以上)で3P、太陽熱温水器で5P、蓄電池設置で5P、UA値0.28以下で3P、庇・通風で2P、バイオマス利用(薪ストーブ)で1P、パッシブ換気採用で1P、道産材利用で2Pとなり、合計で22P。適合に必用なP数(10P)を12P上回る。概算工事費は約4600万円。
櫻井さんは「暮らしで使うエネルギーの削減も大切だが、家を建てる時と解体する時に使われるエネルギーも無視できないことを考えると、できる限り住まいを長く使うことが重要になってくる。そのためには、いかに愛着を持ってもらい、永く住んでもらえるかが大事。メンテナンスなどは私たちもサポートするので、“自分たちの快適な暮らしは自分たちでつくっていきたい”と思う人たちに、『てまひまくらしplus』が目指していることをしっかり伝えていきたい」と話している。

基本プランについて語る武部社長(左)と櫻井さん(右)

お問い合わせ

きた住まいる サポートシステム
住宅建設事業者の方はこちら 住宅建設事業者の方はこちら